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【徹底解説】カブアンド

1. カブアンドとは?

実業家の前澤友作氏が手掛ける新しいサービス、「カブアンド」が話題を集めています。このサービスは、株式会社カブ&ピースという前澤氏の会社が提供しており、日々の生活で利用する様々なサービスを通じて、同社の未公開株を受け取る機会が得られるという仕組みです。  

前澤氏はこのカブアンドを通じて、「国民総株主」というビジョンを掲げています。これは、より多くの人々が会社の株主となり、資本主義社会における資本の偏りを是正し、経済への主体的な参加を促すことを目指すものです。サービス開始から約4ヶ月で累計申込数が100万件を突破したという事実は、この新しい試みに対する社会の大きな関心を示しています。  

カブアンドで受け取ることができるのは、現時点では株式市場で取引されていない「未公開株」です。これは、将来的に株式会社カブ&ピースが株式上場(IPO)した場合に、その価値が大きく変動する可能性があるという特徴を持っています。

このサービスの初期の利用者の属性を見ると、平均年収が全国平均を大きく上回る628万円であり、株式投資経験者も52.7%と高い割合を占めています。このことは、新しい金融サービスに対する感度の高い層や、ある程度の経済的余裕のある層が先行してこのサービスに注目しているのかもしれません。  

2. カブアンドの仕組み

カブアンドの基本的な仕組みは、サービスを利用することで「株引換券」というものが貯まり、この引換券を株式会社カブ&ピースの未公開株と交換できるというものです。この株引換券は、サービスの種類や利用金額に応じて付与される枚数が異なります。  

会員には、通常の「通常会員」と、月額500円の会費を支払うことで株引換券の獲得率が大幅にアップする「KABU&プラス」会員の2つのティアがあります。プラス会員になることで、通常会員の2倍の株引換券を得られるサービスが多くなっています。  

貯まった株引換券を実際の未公開株と交換するには、カブアンドのウェブサイトを通じて申し込みを行う必要があります。かつては、5枚の株引換券で1株に交換可能であり、1株あたりの価値は見込み額として5円とされていました。ただし、この交換レートは今後変動する可能性があるため注意が必要です。  

また、株引換券は、株式と交換するだけでなく、カブアンドが提供する各サービスの利用料金の割引としても利用できます。割引券1枚あたり1円として、電気、ガス、モバイル通信などの対象サービスに充当できます。ただし、一度割引券に交換した株引換券は、再度株式と交換することはできません。  

3. カブアンドの提供サービス

カブアンドでは、電気、ガス、モバイル通信、インターネット回線、ウォーターサーバー、ふるさと納税、クレジットカードといった、私たちの生活に密接に関わる様々なサービスを通じて株引換券を獲得できます。  

KABU&でんき(電気)

多くの地域で電力会社をカブアンドに切り替えることで、電気料金に応じて株引換券がもらえます。ただし、沖縄県や一部離島、高圧一括受電契約の建物は対象外です。電力供給は、東京電力エリアでは株式会社CDエナジーダイレクト、その他のエリアでは大阪ガス株式会社と提携して行われています。電気料金は燃料価格の変動により影響を受ける可能性があり、オール電化向けのプランがないため、場合によっては電気代が高くなることもあります。株引換券の還元率は、通常会員で1%、KABU&プラス会員で2%です。  

KABU&ガス(ガス)

都市ガスを利用している家庭で、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの供給エリア内であれば、ガス会社をカブアンドに切り替えることで株引換券が得られます。プロパンガスは対象外です。ガス料金は地域の都市ガス会社の一般料金と同程度ですが、燃料費調整単価の上限がないため、燃料価格が高騰した際には注意が必要です。株引換券の還元率は、通常会員で1%、KABU&プラス会員で2%です。  

KABU&モバイル(モバイル通信)

ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアの回線を利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)として、格安SIMサービスを提供しています。現在使用している端末や電話番号をそのまま乗り換えることが可能です。データ容量に応じた複数の料金プランが用意されており 、株引換券の還元率は他のサービスよりも高く、通常会員で10%、KABU&プラス会員で20%となっています。  

KABU&ひかり(インターネット回線)

NTTの光ファイバー回線を利用した光コラボレーションサービスです。現在利用中の光回線からの切り替えは、工事不要で簡単に行える場合があります。一部エリアでは、高速な10ギガプランも提供されています 。契約事務手数料などの初期費用がかかる場合がありますが 、一定期間利用することで実質無料になるケースもあります。株引換券の還元率は、通常会員で5%、KABU&プラス会員で10%です。  

KABU&ウォーター(ウォーターサーバー)

天然水サーバーと浄水型サーバーの2種類のウォーターサーバーが提供されており、幅広いラインナップから選ぶことができます。プランやサーバーの種類も複数用意されています。株引換券の還元率は、通常会員で5%、KABU&プラス会員で10%です。  

KABU&ふるさと納税(ふるさと納税)

全国1,500以上の自治体の返礼品を選ぶことができるふるさと納税サービスです。通常のふるさと納税の税金控除や返礼品に加え、寄付金額に応じて株引換券がもらえます。株引換券の還元率は、通常会員で1%、KABU&プラス会員で2%です。他のふるさと納税サイトのようなポイント還元はない場合があります。  

KABU&カード(クレジットカード)

JCBと提携したクレジットカードで、日々の買い物で200円ごとに株引換券が1枚貯まります。KABU&プラス会員の場合、カブアンドのサービス利用料金をこのカードで支払うと、株引換券の付与率が通常の2倍になります。年会費は無料です。  

サービス通常会員の還元率KABU&プラス会員の還元率
KABU&でんき1%2%
KABU&ガス1%2%
KABU&モバイル10%20%
KABU&ひかり5%10%
KABU&ウォーター5%10%
KABU&ふるさと納税1%2%
KABU&カード (通常利用)200円ごとに1枚200円ごとに1枚
KABU&カード (カブアンドサービス利用)200円ごとに2枚200円ごとに4枚
KABU&モバイル 料金プラン月額料金(税込)通常会員の株引換券還元(10%)プラス会員の株引換券還元(20%)
3GB1,078円107枚215枚
5GB1,298円129枚259枚
10GB1,738円173枚347枚
20GB2,178円217枚435枚
50GB3,828円382枚765枚

4. 利用するメリット

カブアンドを利用する最大のメリットは、株式会社カブ&ピースの未公開株を受け取れる可能性があることです。もし将来、同社が株式上場(IPO)を果たした場合、株価が大きく上昇し、大きな利益を得られる可能性があります。  

また、株式投資を始めるにあたって、証券口座を新たに開設したり、多額の資金を用意したりする必要がないという点も、初心者にとっては大きな魅力です。普段利用しているサービスをカブアンド経由に切り替えるだけで、株主になるチャンスが得られます。  

さらに、カブアンドには買取保証制度があります。もし2027年12月末までに上場できなかった場合、希望する株主に対して、その時点での第三者機関による評価額に基づき、会社が株を買い取るとしています。ただし、買取価格には上限があり、払い込み金額相当額の1.2倍までとなっています。  

将来的に株式会社カブ&ピースが成長し、利益を上げるようになれば、配当金や株主優待を受け取れる可能性も考えられます。前澤友作氏は、このサービスを通じて、ユーザーが会社の成長に当事者として参加できるような、RPGのような体験を提供したいとも語っています。  

5. 注意すべき点

カブアンドの利用には、いくつかの重要な注意点とリスクが存在し、これらの点を十分に理解しておく必要があります。  

流動性の低さ

受け取れる株は未公開株であるため、上場するまでは自由に売買することができません。すぐに現金が必要になった場合でも、換金することが難しいという点に注意が必要です。  

上場しない可能性

株式会社カブ&ピースは2027年12月末までの上場を目指していますが 、これは保証されたものではありません。会社の経営状況や市場環境によっては、上場が実現しない可能性もあります。  

価値が下がる可能性

仮に上場が実現したとしても、その後の株価は会社の業績や市場の動向によって変動するため、価値が下がる可能性も十分にあります。  

サービス料金の比較

カブアンドが提供する電気、ガス、モバイル通信などのサービス料金は、必ずしも市場で最安値とは限りません。実際に、乗り換えたことで電気代が高くなったという声も一部で報告されています。利用を検討する際には、現在の契約と比較して料金を慎重に検討する必要があります。  

株主としての権利

株引換券と交換できるのは、現時点では議決権のない「種類株式」です。会社の経営に関与する権利や、会社が解散した場合の残余財産の分配を受ける権利は、少なくとも当初はありません。上場後に普通株式に転換される可能性はあります。  

利用可能エリアの制限

電気やガスなどのサービスは、一部地域では利用できない場合があります。  

KABU&プラス会員費

より高い株引換券還元率を得るためには、月額500円の会員費が必要です。この費用に見合うだけの株引換券を得られるかどうかを検討する必要があります。  

契約期間と解約金

インターネット回線などのサービスには、契約期間の縛りがあり、期間内に解約すると解約金が発生する場合があります。  

サービス品質とサポート

新しいサービスであるため、サービス品質や顧客サポート体制がまだ十分に確立されていない可能性があります。実際に、問い合わせへの対応の遅れや、サービスのキャンセルに関するトラブルも報告されています。  

株式の希薄化

今後、株式会社カブ&ピースが新たな資金調達のために株式を発行した場合、既存の株主の持ち株比率が低下し、1株あたりの価値が下がる可能性があります。  

サービス終了や倒産のリスク

カブアンドのサービスが将来的に終了したり、運営会社である株式会社カブ&ピースが経営破綻したりするリスクもゼロではありません。その場合、未公開株の価値がなくなる可能性があります。  

「上場ゴール」の懸念

一部の専門家からは、短期的な上場を目的としており、長期的な事業成長に重点が置かれていないのではないかという懸念も指摘されています。  

株式交換の申請

サービスを利用して株引換券を得ただけでは、自動的に株主になるわけではありません。別途、ウェブサイトから株式との交換を申し込む手続きが必要です。  

6. 利用者の声

カブアンドに対する利用者のレビューや意見は様々です。  

ポジティブな意見

斬新なアイデアで面白いと感じている人が多く 、サービスの切り替え手続きがスムーズだったという声もあります。将来的な株価上昇への期待感も、利用者にとって魅力的な要素となっているようです。  

ネガティブな意見・懸念

一方で、サービス料金が以前よりも高くなったという不満の声や 、顧客サポートの対応が遅いといった問題も指摘されています。また、未公開株であることの不確実性、特に流動性の低さや上場しないリスクに対する懸念も根強くあります。一部の利用者からは、将来の株価上昇は宝くじのようなものだと捉えているという意見もあります。  

しかしながら、個人のレビューはあくまで主観的な意見であるため、鵜呑みにせず、客観的な情報を参考にすることが重要です。  

7. 他のサービスとの比較

カブアンドのように、日常サービスの利用に応じて未公開株を受け取れるという仕組みは、現時点では非常にユニークなものです。  

従来のポイントプログラム との大きな違いは、ポイントの価値が基本的に固定されているのに対し、カブアンドの株は将来的に価値が大きく変動する可能性があるという点です。  

競合サービスとしては、「クリプトニンジャモバイル」という格安SIMサービスが、利用料金に応じて未公開株ではなく暗号資産トークンを付与する点が挙げられます。暗号資産は取引所で売買できるため、未公開株よりも流動性が高いという特徴があります。  

通常の証券口座を通じて上場企業の株式を購入する投資とは異なり、カブアンドは初期投資のハードルが低いというメリットがあります。また、従業員に自社株を付与するストックオプションとも異なります。

「宝くじ付き投資サービス」 は、高額なリターンが期待できる点でカブアンドと類似していますが、その仕組みは、投資額に応じて宝くじの抽選に参加できるというもので、カブアンドの直接的な株式付与とは異なります。  

カブアンドの独自性は、日常生活における消費行動を、将来的な資産形成の可能性に結び付けようとする点にあると言えるでしょう。

8. まとめ

カブアンドは、前澤友作氏が提唱する「国民総株主」というビジョンのもと、日常サービスの利用を通じて未公開株を取得できるという、革新的なサービスです。将来的なIPOによる株価上昇の可能性や、手軽に株主になれるというメリットがある一方で、未公開株の流動性の低さや上場しないリスク、サービス料金の比較検討の必要性など、注意すべき点も多く存在します。

利用を検討する際には、必ずカブアンドの公式サイトに掲載されている利用規約目論見書を熟読し、サービス内容やリスクについて十分に理解することが重要です。  

カブアンドが向いている可能性がある人

  • 未公開株の長期的な保有と、将来的なIPOによる大きなリターンに期待できる人。
  • 関連サービスをすでに利用しているか、または乗り換えを検討しており、株の取得を付加価値と捉えられる人。
  • 株式投資に興味はあるものの、初期投資や証券口座の開設に抵抗がある人。

カブアンドの利用に慎重になるべき人

  • すぐに現金化できる流動性の高い投資を好む人。
  • リスクを避けたい、安定的な投資を重視する人。
  • 現在利用しているサービスの料金が、カブアンドよりも大幅に安い場合。

最終的にカブアンドを利用するかどうかは、ご自身の資産状況や投資目標、リスク許容度などを総合的に考慮して判断する必要があります。未公開株への投資は、株式上場という不確実な要素に左右されるため、その点を十分に理解した上で、慎重に検討することが必要です。

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